インプラント反対派から賛成派に

その3.インプラントを行うまでに/実際に行ってみて

インプラントに対する認識が変わったきっかけ

ブリッジや入れ歯の限界や現実を目にしながらも、「でも仕方ない」「他に方法がない」と悩みながら日々診療をしていました。

周りの歯に負担がかかるのは絶対に避けられないので、その分日々の歯磨きや食生活の改善、定期的な歯科医院でのクリーニングを行うことで、少しでも長持ちさせるよう取り組んでいくことを患者様にお勧めしていました。

ますだ歯科医院では「予防歯科」を何よりも大切にしているのはこの頃の経験に基づいています。

そんな中、私自身のインプラントに関する認識が変わるきっかけがありました。
それは、インプラントを受けられた患者様の声を聞いたことです。

補綴専門医である勤務先の先生は入れ歯やブリッジを専門にされている一方で、インプラントも20年以上前から数多く行っていました。
そこで私もインプラント治療を受けられた多くの患者様の管理・メンテナンスを担当させていただく機会が増えました。

先生が行ったインプラントは、治療後10年以上たっても腫れもせず、びくともせず、自分の歯よりもむしろしっかりとしていることに驚き、インプラント治療を受けた患者様の満足度が皆高いということにも驚きました。

その中のおひとり、70代の女性についてお話しします。
この方はもともと上下ともに総入れ歯だったのを、下顎にインプラント治療を受けた方でした。
メンテナンスに来られてお話ししたとき、こうおっしゃっていました。

「インプラント治療を受けて本当によかった。今まで何度も入れ歯を作り替えたし、いろんな先生に作ってもらったけど、特に下の入れ歯では本当に苦労したんです。
入れ歯が口の中で動くので、咬めないし、無理に咬むと痛いし、しゃべるのもおっくうで・・・。
手術は不安だったけど、インプラントを受けてからは今まで食べられなかった物も不自由無く食べられるし、本当に感謝しているんですよ。
以前は人前にでるのがはずかしくて、病気がちだったけれども、今は元気で毎日が楽しくって・・・。
私は骨がやせているから上顎にはインプラントが出来ないそうだけど、上にインプラントが出来るような技術ができたらまたお願いしようと思っていますよ。」

私はこのような患者様の言葉によって、インプラント治療には「ただ単に固定式の歯にできる」だけでなく、「失ったライフスタイルを取り戻すことができる」という素晴らしい面があることを知るようになり、インプラントに対する認識が徐々に変わっていきました。

 

私がうけた整形外科用インプラントの問題点

「インプラントは優れた治療法だ」と思うようになった反面、自分の経験から「インプラント治療は危険を伴うものだ」という二つの思いに悩みながら勉強する日々が始まりました。

勉強して分かったことは昔のインプラントは大掛かりな手術が必要な上に、骨としっかり結合しないため、ばい菌が感染しやすく、ほとんどが数年で駄目になってしまっていたこと。
30年ほど前にチタンという金属が骨とアレルギーも無く、しっかりひっつく(オッセオインテグレーション)ことが分かり大きな発展があったこと。
さらにインプラントの素材や形、表面加工、手術法など多くの改良が加えられて、どんどん安全で成功率の高いものへと変化し、全世界で行われているということを知りました。

骨がしっかりしているところに埋めたインプラントは10年たっても95%以上がしっかり機能し続けるということも世界的に報告されていました。

私の腕に埋め込んだ整形外科用インプラントにトラブルが起きた理由もわかりました。ステンレス製のもので骨としっかりひっつくタイプではなく、骨に穴をあけるドリルなども規格化されたものではなかったため、感染しやすいものだったのです。
驚くことに歯科では数十年前には行われなくなったような治療が行われていたのです。
でもそれにも理由がありました。
腕に埋めたインプラントは“骨折が治ったら半年後に抜き取る(抜き取れる)”必要があったからです。
私たちが顎の骨に埋め込む“一生にわたり骨とひっついていてほしい”インプラントとは根本的な用途が違いました。

こうして私の中でのインプラント治療は「骨がしっかりしていれば、きちんと診査診断した上で、処置を行えばうまくいく治療だ」と思うようになりました。

インプラント治療開始!!

インプラントについての認識が変わったこともあり、私自身も限定的にですが診療にインプラントを取り入れることにしました。

・骨のしっかりした方
・下の奥歯の部分
・歯周病では無い方

に限定しました。

統計的に「一番成功率が高く、トラブルの少ない」状態だからです。

様々なセミナーに参加したり、手術のアシストについたりということを繰り返し、1年以上の研修期間を経て、2002年秋に初めてインプラント治療を行いました。
下の写真が一番初めに手がけたインプラント治療です。

インプラント 治療前

初めて行ったインプラント治療(治療前)

インプラント 下の奥歯

初めて行ったインプラント治療(治療後)

右下奥歯に3本のインプラントを埋め込みました。
今でも快調に、ご自身の歯と同じように使えているそうです。

インプラントを行って感じたことは、
“手術自体はそれほど時間がかからない”
“手術後は大した痛みもなく、出血や腫れもほとんどない”
ということでした。 (診査・診断が何より大切!)

実際冠を入れて咬めるようにすると、
「よく咬める」「見た目も自然」「取り外さなくていいのは楽」
「入れ歯から開放されて気持ちいい」などなど・・・
様々な喜びの声をいただきました。
患者様が喜ぶのと同時に私もインプラント治療を行って良かったと思えた瞬間でした。

この症例を手掛けたことをきっかけに、それ以来多くのインプラント治療を行うようになりました。

 

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インプラント反対派だった私が、インプラントをお勧めするようになった本当の理由
その1.インプラントとの出会い/インプラント反対派となった理由
その2.ブリッジや部分入れ歯による治療の現実
その3.インプラントを行うまでに/実際に行ってみて分かったこと
その4.多くの方にインプラントが出来るように
その5.インプラントをお勧めする本当の理由
その6.インプラントを希望する方にお願いしたいこと

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